溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「あら、あなた石黒さんじゃない」


会長さんはそう言って、あげていた手をゆっくり下ろす。


ん? 蘭子ちゃんと面識あるの?


さすが学級委員の蘭子ちゃん、すごく顔が広いみたい……。


「なにがあったか知らないけど、叩くのはよくないと思います」


背すじを伸ばして正当な理由を述べる蘭子ちゃんは、まるで学級委員の鑑。


その凛々しすぎる姿に、会長さんの目つきも変わった。


「そうね、」と呟いて、手を下ろした。


「今日は石黒さんに免じて許してあげるわ。でも、次に何かあったらファンクラグの罰則規定に従ってもらうから」


そう言うと「行くわよ」と、うしろの軍団を従えてここから去っていった。
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