溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。

***


家に帰ると、玄関のカギはまた開いていた。


「ったく、不用心だな」


一応、うちで預かっている身としては、何かあったらシャレになんねえし。


もっときつく言っておかないと。


「ただい……」


リビングに入り、ただいまと言おうとした俺の言葉は途中で飲みこまれた。


「……っ」


ソファに身を投げ出して、居眠りする小春の姿があったからだ。


そう言えば、女子は5、6時間目が水泳の授業だったな。


よっぽど疲れたのか。スースーと気持ちよさそうな寝息を立てて、熟睡している。


「こんなとこで寝たら、風邪ひくっての」


そう言って近づいてみれば。


スカートから、くの字型に折られた足が伸びているのを目にして、胸がどくんと変な音を立てた。


女に、女なんか感じたことないのに。


……なんなんだよっ。
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