溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
『自分の分も作ってるから、1個も2個も変わらないし……って、これ香織さんがお弁当を作ってくれた時に言ってくれた言葉なんだけどね』なんて言って。


弁当の蓋を開けると、言われたとおりハンバーグが入っていた。


一口で放り込む。


……うん、冷めてもうまい。


これじゃあ、今夜は何が出てくるのか嫌でも期待しちまうだろ。


「小春ちゃん、先輩が呼んでるよ~」


そんな声に、ふと顔をあげる。


今までだったらこんな声、ぜったいに聞き逃していたはずなのに、小春って名前に反応してしたんだ


センパイ……?


あの生徒会副会長のやつか?


……ふうん。


小春……彼氏がいるのか?


別に関係ないけど。


俺は廊下へ出て行く小春の姿をチラリと瞳に移し、また弁当に視線を戻した。
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