溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
……朔、くん?


あまりに強く思いすぎたから、幻聴を聞いているのかと思った。


「小春っ、大丈夫かっ……!」


でも、それが幻聴でも何でもないってわかったのは、朔くんの体温を感じたから。


雨でぬれて冷え切った体を、包み込むように抱きしめてくれたんだ。


「ううっ……」


寒さと恐怖で震える続ける私の体を、きつくきつく抱きしめてくれる朔くん。


「ごめんっ……ごめんっ……」


謝り続ける朔くんに、私はただ、抱きしめられながら震えるだけ。


でも、もう怖くない。


朔くんが来てくれたから。


……よかった……。


そこで緊張の糸が切れた私の意識は、プツリと途絶えた。
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