溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
わずかにある軒に避難して、体育すわりで身を縮める。


「ううっ」


冷たくて、寒い。


気づけばすっかり日は沈み、あたりは真っ暗になっていた。


「うっ、ううっ……」


……助けて。


「朔くん……」


心細くて、助けを求めたのは、朔くんだった。


今一番会いたいのは、朔くんだと思ったんだ。


停電の時に私を抱き締めてくれたみたいに……。


どのくらい時間が経ったんだろう。


寒くて暗い闇の中でひとり震えていると、扉の方から微かに物音がした。


……えっ。


やっと開けてもらえる……?


そう思ったとき。


──バンッ!!!!


勢いよく扉が開いて、飛び出すように現れた影は……


「小春っ!!!!!」


今、いちばん会いたいと願っていた人の声で。
< 219 / 326 >

この作品をシェア

pagetop