私のご主人様~ifストーリー~
選んだモノ

決意表明


お父さんの病院を出て、屋敷に戻る帰り道。

静かな車内には、私のすすり泣く声とエンジン音しか聞こえない。

「琴音、悪かった。だから、もう泣くな」

「ッ~!!ふぇ……」

泣き止みたいのは山々なのに、1回堰が壊れた涙腺はなかなか収まってくれなくて、ようやく落ち着いたはずの涙がまた頬を伝っていく。

そんな私に季龍さんはギョッとした顔をして、離した距離をまたなくして頭を撫でてくれる。

季龍さんの胸に顔を埋めたまま、またボロボロと流れ出した涙を止められないまま、季龍さんに抱きついて最早何回目なのか…。

自分でも訳が分からない涙腺は、病院を出てからしばらく経った今も壊れたままだった。

「あーあ。ここちゃんかわいそー。若のせいだぞ」

私のそんな様子に運転しながら信洋さんは軽蔑するように季龍さんをミラー越しに睨む。

いつもなら眼の1つでも飛ばすのに、季龍さんは何も反論しない。
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