私のご主人様~ifストーリー~

私に何も告げないどころか、誰にも何も相談の1つもなく、季龍さんは独断で私をお父さんの元に置いてくるつもりだったらしい。

信洋さんがそれを知ったのも、泣きしゃぐる私を抱えて車に戻った季龍さんが事の顛末を話した時だった。

その時の信洋さんの表情は、ちょっとしか見えなかったけどすごい迫力で、しばらく無言のまま運転していた。

ニコリともせず、怒りのオーラを全身に纏う信洋さんを正直初めて見た。

ようやく話し始めたかと思えば口に出すこと、口に出すこと、全てが季龍さんへの非難で。

流石の季龍さんも何も言い返すこともなく、黙って聞き入れていた。

「若なんか平沢さんに怒られればいいんだ。ねー、ここちゃん」

季龍さんが平沢さんに怒られる?

私のせいで?

そう思った瞬間、また涙の本流が来たのを自覚して、なんとか押さえようと口を閉ざした。
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