私のご主人様~ifストーリー~

待ってればいいかな…。

この辺散歩してこようかな…?

「奥さん、心結の連れか?」

どうしようか悩んでいると、店主さんに声をかけられる。さっきまでキレていたのが嘘のように、とても落ち着いていた。

「連れではありませんが、待たせていたと、思います」

「…そうか。狭いとこだが入っとれ」

店主さんの気遣いに甘えさせてもらい、店の中に入れてもらった。

私が入ってきたことで、心結くんも落ち着いたのか、掃除に専念し始めた。

店内は決して広くない。でも、この店を包む料理の匂いはとても懐かしい気分にさせてくれる。

惣菜と、弁当が並ぶ店内の一角で座っていると、目の前におにぎりを差し出された。

「食え。これも」

「ありがとうございます」

店主さんはおにぎりとみそ汁を出してくれると、厨房の中に戻っていった。

それらを口にすると、期待を裏切らない、お袋の味ってやつがした。
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