求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
遥人と初めてふたりで横浜の現場に行ったときの出来事だ。突然降り出した雨を避ける為に入ったカフェで、彼は今と同じようにカフェラテを買ってくれた。
『水島さんにはいつもフォローして貰っているからお礼させて』
あのとき頼んだのはカフェラテだった。
窓際の席で雨が止むのを待ちながら遥人と沢山話をした。その時間は思いのほか楽しくて、つい時間を忘れそうになった。
思い返してみるとあの日以来、彼との距離が縮んだ気がする。いつの間にか呼び名が“水島さん”から“結衣”に変わり、当たり前のように二人だけで話すようになっていた。
「水島さん、どうかした?」
返事もせずにぼんやりと突っ立っていた為か、遥人が怪訝な顔をする。
「あ、何でもないよ。あの、ココア頂きます。ありがとうね」
遥人は頷くと、ちらりとロビーの一画に目を向けた。
そこは誰でも休憩出来るスペースでソファーが幾つか並んでいる。
ここで買ったコーヒーを飲んでいる人もよく見かける。
「少し休憩していかないか?」
「え……」
「席に戻ったら直ぐ誰かに捕まるだろ? 仕事モードになる前に一息つきたいと思って」
「あ、そうだね。才賀君はなかなかゆっくり出来ないからね」