求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~

彼女に対して申し訳なさと気まずさを持ちながら出社した。

一人で問題ないと言ったが、過保護な母親の願いで父の秘書が同行することになった。

この年で保護者同伴だなんて情けない。しかも通されたのは役員応接室であからさまな特別扱いに溜息が漏れた。

遥人の家は連城設計の親会社である連城地所の創業者一族で、連城地所の現社長は遥人の父だ。母は連城家の遠縁でグループ会社社長の娘。

遥人の四歳上の兄は連城地所で働き役職に就いている。将来父親の後を継ぐのは確実だろう。

優秀な兄が居るおかげで遥人は好きな仕事に就けた。連城設計で役員や白川などごく一部を除いた同僚たちに身元を隠しているのは、経営ではなく設計の現場で働きたいからだ。

それに変に気を遣われるのは好きじゃない。

将来も親会社に移籍せずに、設計の現場で働こうと考えていた。

しかし今回の件で、結衣に素性がばれてしまっただろう。もし白川が説明していなかったとしても、特別扱いを見れば考え至るはず。

白川が信頼している彼女が、無暗に言いふらしたりするとは思わないが。

そんな風に彼女の反応を予想しながらの再会になった。ところが結衣の態度は遥人が予想していたものとはかなり違っていた。
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