もう一度、I LOVE YOU
拓哉は、マンションのドアを静か
に開けた

ミクは居るはずだ、俺を嫌うなんて
ありえない!


しかし現実は・・・。
様変わりした部屋にミクを匂わせる
物は何一つ無い。



クローゼットの中も
靴箱のズラッと並んだ俺の好みの
パンプスもスニーカーも
無かった。

慌ててミクの閉じこもっていた
部屋に駆け込む。


ベッドは新しい布団があり
ミクの物は何もかも消えていた。

項垂れる拓哉を勝成が支える。

「1人にしてくれ・・・」

「いや・・・無理だろ俺達と
行こう・・・
1人に出来ない・・・」


「 《《うるさい💥💢💥》》
《《一人になりたいんだ💥💢💥》》

分かっ・・・くれよ。」
うなだれ、青ざめた拓哉を置き去り
に出来ず、拓哉の体を抱えあげよう
とした。

しかし子供のようにバタバタと
暴れる拓哉を勝成は仕方なく
置いて静かにドアを閉めた。


拓哉は何度もミクに連絡を取ろうと
したが叶わなかった。


何度も同じ動作を繰り返した。
ふと、LINEを開くと

葵の写真がアルバムに
戻っていた。

ベッドにお座りした葵
葵と抱き合ってる俺

そして葵の寝顔
葵と食事してる俺
葵とのツーショット

どれも凄く楽しそうだ、ついさっき
迄俺はこんな顔をしていたのか?

愕然‼

魂の抜けた様にベッドに
ポトン!と座る。

きっとミクが俺が寝てる間に
写真を送信して元のように
アルバムを作っていたんだ。

全部知ってたんだな!

ポトポトとマンションの中を歩き
回る。

ハァーッ

一人ソファにもたれ、キッチンの
テーブルに目が止まる。

朝浮き足立って出たマンションには
味噌汁の匂いとテーブルには
朝飯の用意がしてあった。

確かに家庭の匂いがした。
あんなに愛してくれたミクが一瞬
でいなくなるのか?

当たり前の生活が、この両手から
溢れ落ちた。

暖かいお茶を一口飲み
朝ご飯を進めるミクに

「ワリイ急ぐから・・・」

ミクの話も聞かないで出たっけ

・・・ミク、ゴメン。
君は苦しんでいたんだな‼


俺はただ呆然と座り込んだ。
・・・ゴメン、
君は綺麗だよ。
誰よりも綺麗だ‼

毎日毎日、朝はそう言って抱きしめ
ていたよな!

スッカリ忘れてしまっていた。


その日夕方、葵がやって来た
「ゴメン 今日はその気になれない。
帰って‼」

抱きついて笑顔を見せる葵に
拓哉 は玄関先で断ったがミクは
ズカズカと上がり込んできた。

「オバサンって言ってたじゃない。
葵の方がかわいいって‼
どうしたの?
好きじゃない、うるさい嫁って
言ってたじゃない!

嘘なの?ねえ拓哉‼」


「好きじゃない・・・って‼
そんな事言ってたのか?

うるさい嫁・・・そう言ったのか?
俺・・・が?」


「葵の方が好きって、言ったし‼
ねえ拓哉ってば‼
どうしちゃったの?」


拓哉は葵を抱きしめたが
感情がわかない事に気づいた。

パッと突き放す。
葵は驚いて唖然とする。

可愛い、愛しいそう思っていたのに
ただの物にしか思えない。

葵は、もうその気になって
拓哉を抱きしめ返した。

キスをして・・・そして

拓哉は葵を又力を込めて
バ━━━━━ン、ドンッ
と、突き飛ばした。

キャッ
葵はソファにブッとんだ。

「ゴメン、帰ってくれよ。
1人にしてくれって‼⚡」

葵は拓哉のタワマンが気に入って
豪華な家具にもウットリしていた。

「ヤダ、葵ここに住むから
拓哉の彼女だし権利はあるでしょ。
拓哉といたいの‼」


「俺に触るな‼」


《《なんで?奥さん居ないん
だよね》》

「✧"✧ 俺が怒らないうちに帰れ
ミクはお前とは比べ物にならない
程美人で賢い!


お前ミクの悪口言ってんだってな‼
ふざけるな!

ミクはお前とのような遊びじゃない
本気で愛していたんだ。

笑わせるなよ!」


葵は拓哉の凄みを利かした睨み
に耐えられずマンションを出た。



「ン﹏もうっε٩(。•ˇ₃ˇ•。)۶з
折角見つけたATMなのに﹏」

葵は高々と覆いたつタワマンを
見上げ、プンプンしながら帰って
行った。



拓哉が会社休んで1週間が経った。

勝成はミクの務める歯医者に向かっ
た。
近くのカフェの窓際に座り
ミクが出て来るのを待つ。


4〜5人の綺麗な女性達が出てきた
そう言えば、この歯科は美人が
多いと言われている。


勝成は迷うことなくミクに
走りよる。
《《(゜Д゜)アッ!?》》

ミクは、勝成を見て軽く声を出し
同僚の彼女達は勝成を拓哉だと
思ったようだ。

「あれ?旦那さんとデート?」

茶化しながら勝成にぺこりと頭を
下げてバラバラに散って行った。


「勝成さん・・・ですよね。」

「そうです。拓哉の事で
話があります。
カフェでお茶でもどうですか?」

ミクはニッコリと頷いた。

「お腹空いちゃってて
丁度いいですね。」

ミクは勝成がポーッとなるほど
可愛らしい笑顔を見せた。

熱いコーヒーを勝成がオーダー
すると
メニューをみていたミクも

「ん﹏何食べよっかなぁ〜
煮込みハンバーグとライスと
それと、スープ あ‼パスタ、パスタ
カルパッチョあと
『え、まだ食べるの?Σ(ΘДΘ;)』

唐揚げーっしょ‼
はい‼ おーわりっと‼」
パタン

「お昼食べる暇なくてへへっ‼
晩御飯になっちゃいました。」

ミクは可愛らしい顔を勝成に見せて
メニューを閉じた。

勝成はミクに(〃 ̄)-~ポ-
『かわいい❤』

いやいや、親友の嫁さんだろ!
気を引き締める。


ŧ‹”ŧ‹”「拓哉がどうかしましたか?
彼女は、マンション気に入り
ましたかね?」

《《エッ‼》》

「フフフあんなにベタベタ気持ち悪い
2人ですもの聞くのがヤボかなぁ。

で?お話ってなんですか?」

「え・・・と‼」

何もかも吹っ切れたのかミクは
明るく笑い飛ばす。
勝成は気後れしてしまった、もっと
落ち込んで泣かれたら
どうしょうと思っていたからだ。

「 拓哉を合コンに誘ったの俺なん
です。」



ŧ‹”ŧ‹”「そーなんですか。」


「えっ・・・と、まさか拓哉が
浮気するなんて思わなくて
あなたにベタ惚れだったし・・・
ほんとにすみません。」


ゴクッ「いいんですよ。
いつかは浮気される気がしてて
予感って奴かなハハハ」


「ミクさん。」

「はい?ズルズルズルゴクン」
思い詰めた勝成に、アサリとチーズ
のペペロンチーノをもごもご
しながら返事した。


「拓哉とやり直してくれませんか?」

「は?」

「お願いします。
今度は浮気なんてしません。
いやさせません。

今拓哉引きこもってて
仕事していないんですよ。

このままじゃクビです。
まだ有給あるから救われてる
んですけど・・・。」


「それは、本命彼女に言って
くださいよー。

お願いされません!いい気味﹏
私は無理ですよー

しかも離婚するんです。
まだ書いてないのかなぁ?」

「え、何を?」

「やだぁー離婚届ですよ。」

ブッゲホゲホゲボ
《《離婚届( ⊙ ε ⊙ ;)》》


「あ・・・速攻出しちゃってるかも
あんなにラブラブだし、
もう関係無いんですけどねアハハハハ」


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