未明の三日月 ~その後

美咲は 若い頃よりもずっと 佳宏に惹かれていることに気付く。


感謝し、尊敬しているだけでなく 体ごと 佳宏を求めていた。


それが 美咲の歓びを、更に深めていることには 気付かないまま。

 

「最近 佳宏 またカッコよくなったね。若い女子社員の 人気らしいよ。」


子供達が眠った後で 二人で話す時間を 佳宏はとても大切にしていた。
 

「まさか。そんなこと無いから。」

佳宏は 心地よい声で笑う。


美咲の配慮で スーツに気を使い 糊の効いたワイシャツを着て 出勤する佳宏。


清潔感が溢れた身なりは 佳宏の 健全な生活の 証明になっていた。
 

「本当だって。佳宏 若い子好きだからなあ。心配だよ 私。」

美咲も笑って言う。
 


「こんなに毎日 美咲 抱いていて。浮気する体力ないから。」



佳宏は 甘く 美咲を抱き寄せる。

熱い思いが迸り 唇を求める美咲。
 


「それに俺 美咲しか 抱きたいと思わないから。」



佳宏は熱く美咲を見る。


そっと美咲の胸に 指を滑り込ませながら。
 



「佳宏、駄目。」




と責める目で見る美咲の肩を抱いて 佳宏は寝室へ入っていく。
 

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