【完】淡い雪 キミと僕と
7.美麗『あなたは自分をきちんと認識していないだけなの』

7.美麗『あなたは自分をきちんと認識していないだけなの』




「そうそう、これが美麗の3歳の時の写真なのよ~。可愛いでしょお?」

「本当に可愛らしいお嬢さんですね。美麗さんは小さい頃から可愛いかったんですねぇ」

「まあな、美麗は俺に似てるからな」

「あらパパったら、美麗ちゃんは昔からわたしに似てるって言われてたでしょう?
でも産まれた時は顔がパンパンでね、わたしもパパにも似てなくって、正直女の子だから心配したわぁ~」

「そうそう。産まれた時は何て不細工な赤ちゃんだろう、と思ったよ。
まぁ、自分の娘だから、不細工でも可愛くて仕方がないものだったんだがなぁ。こっちがなぁ、4歳の時でな、美麗は幼稚園に行くのが嫌いで、毎日ぎゃんぎゃん泣いていたんだよ」

「そうだったわねぇ。一人娘で甘やかされてたから我儘でねぇ。それに今は風邪ひとつひかない位健康なんだけど、小さな頃は体が弱くってね。
そうそう、小学校に上がる時も学校に行きたくなって騒いでね。幼稚園で仲良しだった友達が学区内の都合で離れてしまってね、ほらこの写真泣きはらした目をしちゃって」

何でこういった状況になってしまっていると言うのだ。

突然西城さんが実家に尋ねて来て、そして夕食を一緒に食べる羽目になり、ママは昔のアルバムを取り出して、嬉しそうに西城さんに話を掛けている。

パパもパパで最初は不機嫌だったくせに、何故か西城さんの素性を知ったとたん上機嫌になり、今日は泊っていけと言い出す始末。

そして、この男も男だ…。誤解を与える事は控えて欲しい。

ママとパパの昔話を笑って聞いて、わたしには絶対に向けないような営業スマイルを崩しはしない。’可愛い’なんてよくもまぁ言えたもんだ。普段は悪態ばかりついてくる癖に。

外面が良いというか、何と言うか。非常に不愉快よ…。


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