【完】淡い雪 キミと僕と
「聞いてないか?美麗さんから」
父から説明を受けて、何故近頃美麗の様子がおかしかったのか理解した。
それと同時に、あの祖父をぶん殴りたい気持ちになった。
興信所で美麗の事を洗いざらい調べたのは、知っている。けれどまさか美麗の会社まで乗り込んでいくとは思わなかった。
まさかそこまでする程、腐った人間ではないと思っていた。
それどころか美麗の過去の港区についても言ったらしく、手切れ金を投げつけたと言う。怒りで頭がおかしくなりそうだった。
けれど、金で全てを解決しようとしていたのは、過去の自分と一緒でそこは少しだけ笑えた。…俺は何て最低な事をしてきたのだろう。
美麗はもしかしたら、俺の未来について思い悩んでいたのかもしれない。悲しい気を遣ってばかりいる女性だ。
そしてあの祖父と一対一で会うのは、怖かったに違いない。大の大人でも怖いのだから、20歳そこそこの若い娘が怖くない訳等無い。
けれど彼女は俺へ愚痴ひとつ零す事はなかった。 そんな美麗の健気さは切ない。
「わたしは、賛成する。だから安心しなさい。
お母さんのあの様子だったら美麗さんを気に入ったに違いない」
「ですがッ…」
「会長の事は私に任せておけば良い。少しは頼りなさい。私はお前の父親だ。
美麗さんの事も、夢かぐらの事も、お前がしたい事は自由にする権利がある。
それにお前が自主的に仕事の事を私へ言ってきたのは初めての事だ。それは嬉しい。
それが数か月でもいいから西門さんの下で働きたいだなんて、中々見る目がある…」