【完】淡い雪 キミと僕と
19.大輝『俺の心も体も全ては美麗の物だ、光栄に思え』

19.大輝『俺の心も体も全ては美麗の物だ、光栄に思え』




数日後、祖父から会長室に来いと父と共に呼ばれる。

何の話かは大体見当がついた。それと同時に祖父へは、沸々と怒りが沸いていた。

俺の知らぬ所で美麗に会いに行った事。そして無礼な行為を働いた事。この国がスラムだったとしたのならば、俺はこのクソジジイをぶん殴り東京湾に沈めていたかもしれない。

…実際そんな事はしないけれど、それ程までには彼に憎悪が芽生えていた。

人の気持ちなんてお構いなしでどこまでもエゴイストな人。時代が時代ならこの人はヒトラーだったに違いない。血も涙もない独裁者だが、俺にも間違いなくあの人の血が流れている。

西城グループになんか産まれたくなかった。社長令息なんていう地位を望んでいなかった。いつも誰かに、どこかへ隠してほしがってた。

けれど、美麗が俺を認めてくれるから、俺は俺でも良いのだと思い始めてきた今日この頃。彼女に愛され、自分が自分で良かったとやっと思えてきたというのに。

あんな事があったと言うのに彼は何ひとつ悪びれる事はなく、会長室の椅子に深く腰をかけてその窓から高い空を見上げていた。

罪の意識など恐らく持った事がない。だから他人を平気で傷つける事が出来る。でもそれも人の事は言えない。俺だって人知れず誰かを傷つけてきた事がある人間だからだ。

「座れ」

たった一言のみ発して、今日も父と俺を威圧する。

無言のまま、父と向かい合うようにソファーに腰を下ろす。今日も父の顔色は冴えない。それに比べ祖父の肌は艶やかだ。余談だが、この人は100歳まで生きるような気がする。

…勝手に生きてくれる分には構わないが、これ以上邪魔をすると言うのならば、こっちだって黙ってばかりいるつもりもない。


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