【完】淡い雪 キミと僕と

良い奴かと思えばやっぱり嫌な奴で
優しい言葉をかけたと思えば、すぐに意地悪な事を言って
関わりたくなんかないのに、勝手にわたしの生活に土足で入り込んできて。


アンタのせいよ、と西城さんがいなくなったリビング。ソファーの上でわたしの指にじゃれつく子猫に悪態をついたら

真ん丸の瞳をこちらへ向けて、首をかしげたかのように見えた。まぁ次に続く言葉は人間語に訳すときっとこうだろう

’ボクは何も知りません’

全くこれだから、猫という生き物は。

可愛くな……くもない。少なくとも、こいつはクソ生意気にわたしに威嚇し続けたあの猫とは違う生き物だ。


分厚い書籍。似つかわしくないファンシーな本を開き、真剣に名前を考えている自分がいた。
小さいからチビ?それは安易すぎるか。

いっそネズミってのはどうだろうか。いや、無いな。

もっとこの子には、相応しい名前があるだろう。


明日も西城さんは来るらしい。用事もない癖に。いや、用事は猫に会いたい、からか。

だから名前を一緒に考えるのもひとつの手だ。

別に楽しみにしている訳ではない。断じてない。


何も予定のない金曜日の夜。明日を待ち遠しくなったのは、断じてあの男が家に来るからとかでは絶対にない。


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