wedding day
美しい街並みで多くの観光客を呼んでいるアンネストールは、今日も穏やかで平和な時間が流れていく。この国にあった恐ろしい宗教団体のことなど誰も知らないだろう。

今から三年前、エデンという宗教団体が解体された。エデンは表向きは普通の宗教として活動していたが、実際は創設者のレジーナ・マティーニの欲望を叶えるため、幼い子どもを武器として育てていたのだ。組織を裏切ったものは容赦なく殺された。

「おじさん、私どうしたらいいの?」

人気のないレストランの奥で一人の少女が涙を流していた。泣き続ける少女を、特殊警察で彼女のおじであるユダ・カミカゼが優しく頭を撫でている。少女の栗色の髪がランプに照らされて艶めく。

「もう私は十八歳。働かないといけないけど……。私は犯罪者の娘だから……」

「オーロラ……」

少女ーーーオーロラ・ブルックリンの父はエデンの信仰者だった。殺人や拷問などを行ったため、監獄へ送られた。オーロラは犯罪者の娘だ。
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