先輩、私だけに赤く染まって

和樹と過ごしていた今までは凄く楽しくて、彼の良いところも沢山知っていたから、


好きだと言われたとき素直に嬉しくて、これが恋なんだと自覚した。


「幼馴染の延長みたいな感じだったけど、普通に仲良くしていました」


一ヶ月くらいは順調な関係だったと思う。


だけど健全な男子中学生。手を繋ぐくらいじゃ満足出来なくなるのも当たり前だ。


「でも私は、和樹とその…キスが出来なかったんです」


今思えば彼女にキスを拒否されるなんて、和樹にとっては思ってもみないことだっただろう。


結局のところ私は、恋愛的な意味として和樹のことは好きではなかったのかもしれない。


今ではそう客観的に思えるけど、当時はそれに酷く悩んでいた。

< 112 / 317 >

この作品をシェア

pagetop