先輩、私だけに赤く染まって

私は走るくらいの勢いで先輩が待つ公園に向かった。


公園に着く頃には心臓が激しく音を立てていて、日頃の運動不足を恨んだ。


「…本当にいる」


誰もいない公園で、たった一人でベンチに座っている。


私が和樹と話す前に電話をかけてから余裕で一時間は経っている。


その間、ずっと待っていてくれたんだろうか。


どんな気持ちで?


「早瀬先輩」


「ああ、杉野さん」


私に気付いた先輩は、少し眉を下げて安心したように笑った。


< 148 / 317 >

この作品をシェア

pagetop