先輩、私だけに赤く染まって
私は走るくらいの勢いで先輩が待つ公園に向かった。
公園に着く頃には心臓が激しく音を立てていて、日頃の運動不足を恨んだ。
「…本当にいる」
誰もいない公園で、たった一人でベンチに座っている。
私が和樹と話す前に電話をかけてから余裕で一時間は経っている。
その間、ずっと待っていてくれたんだろうか。
どんな気持ちで?
「早瀬先輩」
「ああ、杉野さん」
私に気付いた先輩は、少し眉を下げて安心したように笑った。