先輩、私だけに赤く染まって
「…すみません。村田くん探して連れてきますね」
こんなすぐバレる企てを仕組んだ村田くんに落とし前をつけさせようと思ったのに、それを止めたのは意外にも先輩だった。
「いいよ、彼も何かあったんじゃない?ほら、座って」
そう言いながら私を無理やり椅子に座らせ、自分もその隣に座る。
私の為とはいえ、村田くんの所為で本来ならしなくていい仕事を増やしてしまったことが申し訳なかった。
急に先輩と顔を合わせて、正直何を話していいか分からない。
先輩からも話しかけるくることはない。
こんなときに限って図書室はガラガラで、せめて話す暇もないくらい混んでくれれば良かったのに。
左側に先輩の存在を強く感じて、体は強張ったまま。