先輩、私だけに赤く染まって
「ほら、行こうよ」
背の高い方の男が強引に私の腕を掴んだ。
浴衣なのにそんなことするなんて、女の扱いに慣れてないな。それだからモテないんだよ。
力強く引っ張られ、踏み出した足が慣れてない下駄に突っ掛かる。
転びそうになった私を、横から誰かが受け止めた。
これは…、この温もりは。
「杉野さんから離れろ」
間違いない、先輩だ。早瀬先輩が、私の隣にいる。
ぎこちなく右を向くと、私の腕を掴む男を真っ直ぐに見る早瀬先輩の顔があった。
「なんだよ、結局彼氏連れかよ」
遊べない女に用はないとでも言うように、私の腕をパッと離した。
もう一人の男を連れて人混みの中に消えて行く。