先輩、私だけに赤く染まって

後ろを歩いていた人が私を追い抜こうとしたとき、その肩がぶつかる。


「わっ」


全く、危ないな。今日くらい浴衣の女を気遣ってくれてもいいのに。


おかげでかき氷の山が崩れてしまった。


足早に立ち去るぶつかってきたおじさんをムッと睨む私の手を、先輩がするりと掴んだ。


あまりに自然に手を握るもんだからドキッとして顔を見るけど、この角度からはその表情はよく見えない。


だけどなんだか、怒ってる…?


器用に人の間をすり抜けて道の端に寄ると、私を庇うように立ち止まった。


「その場所、行かなくちゃダメ?遠くからでも綺麗に見えるよ」


急にどうしたんだろうか。何度もつまずく私を気遣って言ってくれてるのかな。

< 295 / 317 >

この作品をシェア

pagetop