先輩、私だけに赤く染まって
後ろを歩いていた人が私を追い抜こうとしたとき、その肩がぶつかる。
「わっ」
全く、危ないな。今日くらい浴衣の女を気遣ってくれてもいいのに。
おかげでかき氷の山が崩れてしまった。
足早に立ち去るぶつかってきたおじさんをムッと睨む私の手を、先輩がするりと掴んだ。
あまりに自然に手を握るもんだからドキッとして顔を見るけど、この角度からはその表情はよく見えない。
だけどなんだか、怒ってる…?
器用に人の間をすり抜けて道の端に寄ると、私を庇うように立ち止まった。
「その場所、行かなくちゃダメ?遠くからでも綺麗に見えるよ」
急にどうしたんだろうか。何度もつまずく私を気遣って言ってくれてるのかな。