どうしたらヤンキーになれますか!?-六花の恋ー【完・修正中】
「――――」
泣いた。
半開きになった唇の端にしょっぱいものが触れて、続いて制服のスカートにぼたぼたとしずくが落ちる音がして、自分が泣いていることに気付いた。
「水都さん⁉ ごめんそんなに嫌だった⁉」
無言の真顔で涙を流すわたしを見て慌て出した作之助だけど、わたしはなんと言えば誤解が解けるかわからないまま作之助の方へ両手をのばした。
「み――」
「ありがとう、作之助」
作之助を抱きしめていた。
言葉だけでは全然足りないありがとうを伝えるために。
「ありがとう……わたしみたいなコミュ力壊れたやつなのに、そんな風に言ってもらえて……嬉しい。ありがとう、作之助……」
作之助は突然のわたしの行動にびっくりしたのか、微動だにしない。
返事もなく、ましてや抱きしめ返されることもなく、黙って抱きしめるわたしと、黙って抱きしめられる作之助がいた。
静かだ。とても。
自分の心音が優しく聞こえる。
……やがて作之助が口を開いた。
「……俺のこと『作之助』って呼ぶの、水都さんだけだったんだ……。だから最初から、水都さんは俺の特別だったんだ……」