仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。



「……俺ら考えたんだけど、陽愛ちゃんをさ姫にしない?」

「……は? だからしないって言って」

「陽愛ちゃんが姫になりたくないのは百も承知だよ。あんなことあった後になりたくないってことも分かる。だけど、守りたいんだろ?」


昇にそう言われてハッとする。
でも彼女はなんて言うかな……嫌だって言って泣いちゃうかもしれない。


「……今、彼女はこの世界で日向の姫になってる。総長の女って知れ渡ってる。それに姫になればみんなで守ることもできるだろう?」


それはその通りだ。だけど、彼女のことを思ったら……。


「陽、ずっと姫になってもらうわけじゃない。月輝のことが片がついたら、彼女が辞めたいって思うならやめればいいんだよ。」


期間限定、か……。




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