仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。

* * *


バスに揺られて15分、バス停から歩いて10分程度。
海が見える場所に私の家がある。


「……ねぇ、聞いた? 朝倉さんちの娘さんの話」

「聞いたわよ〜〜怖いわね。」


……あぁ、ここも噂が流れ始めたんだ。彼らは本当に有名なんだ……ただの暴走族なのにね。
ここにも、私の居場所は……ない。

「……こんにちわ、」

「あら、ひ陽愛ちゃん……っ! こ、こんにちわ」

彼女らが話している中、気にせず挨拶すると彼女らは動揺しながら挨拶を返してくる。
私はそんなこと気にもしないで通り過ぎると、すぐそこの家に入る。
おばさんたちが知ってるんだからお母さんも知ってるのかな……?


「……ただいまぁ!!」


敢えて、明るく元気に叫んだのに家の中にはお母さんはいない。どこに行ったんだろう。

ご飯でも作って待ってようかな。
今日はバイトもオフだからゆっくりご飯作ってゆったり過ごそう。

……バイトも辞めたいなぁ、なんて考える。だけど生活する上ではやめられないか。








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