モノクロリバーシブル
そう言って、母さんは物の怪の群れに向かって走り出した。

「……あいつ、俺と同じ白狐か?」

弥勒は、傷を手で押さえながら呟く。白狐って、妖狐の1種だっけ?じゃあ、母さんは……弥勒は……妖怪?

母さんは、簡単に物の怪の群れを倒した。そして、人間の姿へと戻る。

「……春明。お前は、白狐と人間の間に生まれたハーフだ。私みたいに妖術は使えないけど、私みたいに寿命が無い」

その言葉に、僕は驚くことしか出来なかった。

「……それで、春明にそこの子。転生ってどういうこと?」

……もしかして、僕の言葉が聞こえてた?

僕は、正直に母さんに話すことにした。話し終えると、母さんは「なるほどねぇ」と納得のいく顔を見せる。

「だから、大人びた考えとかしてるわけだ。それで、弥勒くんは?」

「俺は、不良の喧嘩に巻き込まれた。ただ近道しようって、路地裏に行っただけなのにな……」

「……それ、本気で言ってる?」

「うん。ホントだよ」

「一番最悪じゃん……」

僕は、苦笑することしか出来なかった。



行くあてのない弥勒が僕の家で暮らし初めて、1か月。

僕が弥勒と部屋でごろごろしてると、母さんが部屋に入ってきた。
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