清廉で愛おしい泡沫の夏
愛の自慢大会
 「あれ!なんで戻ってきたの⁉」
 私たちが教室に戻ると、すぐに仁と渚が駆け寄ってきた。
 「…ご飯の続き食べよ?」
 そう言って自分の席に戻ると、すぐに2人も来てくれた。
 「屋上、どうだった⁉」
 「特に普通の屋上だったわよ。」
 「いや、屋上がどうとかじゃなくて!」
 「屋上でなにしたの⁉」
 「少しお話しただけよ。」
 「廉さんと⁉」
 「えぇ、まぁ、話すのは、総ばかりね。」
 「てかなんで2人、廉さんと知り合い⁉」
 「昨日、ちょっとね。」
 「ちょっとって何⁉」
 よほど興奮しているのか、2人はいつもよりも激しい質問攻めをしてきた。
 そんなことよりも、私が気になっていたのは、
 「…2人は、龍星なの?」
 さっきの突然の挨拶は、廉を目上の人と認識しているから、、だよね。
 「そうだよ!」
 「入学の時に入ったんだ。」
 「…そうなんだ。廉を、尊敬してるの…?」
 「してるさ!あの人はすごい人だよ!」
 「へぇ、そんなに?」
 「あぁ!成績は常に学年1位!運動能力も半端なくて、スポーツ万能だし、喧嘩して負けたことないらしいし!」
 「なにより、あのルックスだよな!ちょーイケメン!体もバッキバキなんだぜ?」
 「体なんて、見たことあるの?」
 「やっばいんだぜ!毎月工場の近くの砂浜で、龍星全員で筋トレするんだ!」
 「そんとき、脱いだりするんだけど、廉さんの体すごいんだ!」
 「廉さんだけじゃなくて、最高幹部の人たちはみんなすごい!」
 「やっぱ、廉さんが一番すごいんだけど、要さんも筋肉凄くて、、」
 「俺は、総さんが好きなんだ!見た目そんなに筋肉ある感じに見えないだろ?でも脱いだらやばくて!ギャップ感じる…!」
 「あと、琉さんの足の筋肉が、凄くて!」
 …2人とも、なんだか恋する乙女のようね。。
 質問攻めがいつの間にか、自分たちの愛の自慢大会だわ。。。






 「美夏。」
 「ん?」
 自慢大会は、チャイムによって強制終了となり、形だけの帰りのHRを終え、帰ろうとしていたときのこと。
 美泡は私を呼んで、廊下のほうを指さした。

 「…私、あの人怖いよ、、すっごい見つめてくるんだもん、、」
 「面白いじゃない。」
 「じゃあ美泡があの人の後ろに乗ってよ。私、総のほう乗りたい。」
 「いやよ、美夏はもっとあの人と仲良くなったらいいと思うわ。」
 「…他人事だと思って。。」 
 相変わらず、美泡はとても楽しそうにしている。
 ほんと、、他人事なんだから。。。
  

 「待ち伏せなんて、趣味が悪いんじゃない?」
 と美泡が、廊下で待っていた廉と総に声をかける。
 「ははっ、そんなこと言わないでよ。」
 総が、困ったように笑う。
 廉は相変わらず無表情だが、私のほうを見てこない。
 …凝視するのはあまりよくないと、気づいたのかしら。。
 まぁ、なんにせよ、見つめられないのはよかったわ。

 「また、倉庫に行くの?」
 「…い、いやかな?」
 総は、なんだか、美泡に相当気を使っているようだ。
 「ふふっ。何かあった?」
 「ほ、ほとんど君のせいじゃないか。わかってるんだろ?」  
 「あら、心当たりがないわ?」
 総は、美泡に遊ばれたようだ…
 それで、美泡に気を使ってるのね。。




 「「「お疲れ様です!!」」」
 私たちが入った瞬間に、昨日と同じように元気な挨拶が響いた。

 ん? あそこの人たち、挨拶が遅れた。。
 廉が入ってきた瞬間に、一斉にする挨拶は、遅れると目立ちやすいようだ。
 …なにしてるんだろ。





 
 
 














 
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