清廉で愛おしい泡沫の夏
 「…」
 彼女たちが去ったあと、屋上には、微妙な空気が流れていた。
 幹部たちも、昨日の今日で、あの双子に興味深々で、俺たちの会話に聞き耳を立てていたのだ。
 それが、まさか、我らが総長様の失恋現場になるなんて…
 傍から見ても、完全にかみ合ってない会話ではあったが、
 「…」
 うちの総長は目に見えて落ち込んでいる。普段はそんなに感情のあらわさない男であるが、、いや、今も顔には一切出ていないのだが、全身から、負のオーラが溢れ出ている。。溢れまくっている。。。
 「廉が振られるなんて、珍しいな。」
 こ、このデリカシーなし男が!場の空気を考えろよ!
 「か、要!、ふ、振られたわけじゃないっすよ、廉くん!美夏ちゃんが違う男を好きだって言っただけじゃないっすか!」
 フォローになってないよ、琉…
 見ろ、さっきより落ち込み度が上がったじゃないか。。。
 どうしたものか…
 はぁ、、彼女、絶対こうなることがわかってて美夏ちゃんを早々にここから連れ出したな。。
 あの女、、悪魔か。。
 
 
 
 
 
 
 











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