青春ヒロイズム


夕飯後にリビングのソファーに座ってスマホを見ると、新着のメッセージが届いていた。

メッセージアプリに登録されていない相手からだったけれど、アルファベットで「Kanaki」と表示されている名前に鼓動が速くなる。

震えそうになる指でスマホをタップしてみると、それは予想通り星野くんからのメッセージだった。


『星野です。足の調子どう?病院行けた?』

メッセージは一時間くらい前に届いていたらしい。

私は星野くんからの短いメッセージを何度も読み返しながら、どんな返事をしようかと悩みに悩んだ。

お礼の文章のパターンをいろいろ考えてみたけど、長すぎたり、仰々しくなり過ぎたりして。

結局、無難で簡潔な内容に落ち着いた。


『昨日はどうもありがとう。病院行ったよ。軽い捻挫だって。完治までは二週間くらいかかるみたい』

緊張しながら送信ボタンを押すと、すぐにメッセージに既読がつく。

もしかしたらまた星野くんが何か送ってきてくれるかも。

そう思ったら、そわそわと落ち着かない気持ちになった。



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