本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
「何を話していたんですか?」

「内緒!あんたが図に乗るから絶対、教えない!」

「高見沢さんはケチですねぇ」

私には直ぐにプイッてして、可愛くないんだよね。一颯さんには犬っころみたいに、嬉しくて尻尾振ったみたいな態度を取るくせに。

私は仕事帰りに一颯さんの部屋に寄ったが、一颯さんも教えてくれなくて二人だけの秘密らしいが聞きたくて粘る。

「……二人が話してたのはフランス語ですか?聞き取れないように、わざとフランス語で話していたなら、取り残された様で寂しいです」

一颯さんは私の隣に座り、ノートPCで持ち帰りの仕事をこなしていた。

「そんなに聞きたいの?恵里奈のどこが良いって聞かれたんだけどね…、」

お風呂上がりに飲んでいた紅茶のティーカップを両手で握りしめていた私の耳元で、英語で話してくれた。

「……聞き取れた?」

「…ゔ、何ですか!何で恥ずかしげもなく、そんな恥ずかしい事を言ったんですか!ベッドの中って……!!」

「本当の事だから」

しれっとしているけれど、明日から高見沢さんにどう接したら良いのか悩む。聞かなきゃ良かったな……。一颯さんはパタン、とノートPCの画面を閉じて
「確かめてみる?ベッドの中での恵里奈の件」と言って、ティーカップを手から奪われてテーブルに置かれた。

「……一颯さん、明日は早いって言ってたでしょ!だから、早く寝て下さい!」

「恵里奈が遅番だから大丈夫」

「そーゆー問題じゃないんです!疲れてるんだから、ゆっくり寝て下さい」

「……恵里奈が居ないとゆっくり寝れない…」

「……っもう!仕方ないですね」

職場では仕事の鬼なんだけれど、二人きりの時は甘えてきたりする。そのギャップに胸がキュンキュンしたりして、深みにハマっていく。
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