本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
一颯さんはクスクスと笑いながら、私の肩を抱き寄せてくれる。

「双子ちゃんが産まれるって決定ではないけど、俺は女の子の双子がいーなー」

「男の子でも女の子でも双子ちゃんだったら、お揃いの洋服を着せるのが夢です」

「早く会いたいな、双子ちゃん達に……って、まだ火照りが消えないの?」

「だって、だって、一颯さんがパパだなんてカッコ良すぎる……!」

一颯さんが赤ちゃんを抱っこしているとか、子供と手を繋いでいるとか想像だけで破壊力抜群です。火照り過ぎて真っ赤な顔を両手で覆い隠した。

未知の世界を想像するのは、気恥づかしいが楽しくもある。一颯さんに顔から両手を剥がされ、顎をくいっと持ち上げられる。

「そう言えば、恵里奈ちゃんは俺が休みの日にしか来ないんじゃなかった?」

「きょ、今日は非常事態だから相談しに来ただけですっ」

「ふぅん?随分と大荷物な感じはするけど…。寮まで送って行こうか?」

「相変わらず意地悪ですね!……でも、ワイン飲んでるから無理でしょ!飲酒運転になっちゃう…。……っん、」

「じゃあ、泊まって行って」

優しいキス。一颯さんに迷惑をかけないようにと決めた傍から、副支配人に見つかってしまう。副支配人の件を理由に泊まり前提で一颯さんちに上がり込んでしまった。

一日も自分で作った決まり事が守れないなんて、私は最低だ。一颯さんにそう伝えたら、「毎日守らなくて良いよ」って言って抱き締めてくれたけれど、優しさに甘え過ぎてはいけない。

一颯さんと一緒に仕事もしたいし、お付き合いもしていきたい。まずは社内恋愛の秘密を守り通し、一颯さんの体調管理にも気をつけよう───……
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