本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
「エグゼクティブフロアで働いてるけど、篠宮ちゃんが駄目社員だなんて誰一人言ってないし、悪質なわざとらしい虐めなんかも誰一人しない。毎日、和気あいあいと仕事してるの!よっぽど下の階の人って、心が貧しいのね!」

「な、何なのこの人…」
「エグゼクティブフロアのラウンジの吉沢さんでしょ?何、そんなムキになってんの!」

「御存知の通り、吉沢よ。ついでに言うけど、貴方達が狙ってる高見沢君の彼女だから、よーく覚えておいてね」

吉沢さんは私を庇って、真っ直ぐな気持ちをぶつけると、気まづくなったのか、彼女達はそそくさと退散した。私は反論も出来ずに情けない位に、ただ座っていただけだった。

「あーゆー陰でしか言えない人達、嫌いなの!」

ガタリ、と椅子を引いて座る吉沢さん。

「有難う御座います……、私、悔しくても反論出来なくて…。あの人達にも支配人にも御迷惑おかけしてたのは事実で…」

「ん?篠宮ちゃんが思ってる程、迷惑なんてかけてないと思うよ。助け合うのが仲間でしょ!」

「はい、すみません…」

「ほらほら、そう卑屈にならないで!ナポリタン冷めちゃったね。早く食べよー、食べよー!」

吉沢さんは頼りになるお姉さん的な存在だ。甘えてはいけないのだけれど、様々な場面で助けて貰っている。
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