本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
「そうそう、正式に拓斗と付き合う事にしたの。さっきの人達、拓斗の事を狙ってて、見かける度に付きまとっていたのを知ってたから、ついでだから報告しちゃった!」

口いっぱいにナポリタンを頬張りながら、吉沢さんは私に伝えた。

「おめでとうございます!高見沢さんも大喜びでしょうね」

「そうかな?拓斗はいつも傍に居たから、付き合っても私的には変わらない感じかな?」

吉沢さんはお人形さんみたいに小さくて可愛いのに、見た目とは違い、行動派で好き嫌いもハッキリしている。前彼とは色々あったみたいだけど、高見沢さんとは友達の延長からの恋人だから気を遣わないらしい。

「あ、あの…さっきの人達の話なんですけど…支配人がどうこうっていう…」

「んー?」

私達は食事を済ませ、従業員食堂を出た。二人きりのエレベーターで秘密を打ち明ける。

「知ってるかもしれないですけど、実は私…」

「大丈夫だよ、何となく知ってるから、言わなくて。私に教えてくれて有難う。秘密の恋バナは同じ休みの日にカフェ行ったりして話そ。中里ちゃんも誘おっ!」

「は、はい、楽しみにしてます」

高見沢さんだけ知っていて、こんなにも親身になってくれている吉沢さんに隠しているのは心苦しくなった。一颯さんと付き合って居るのに気付いているのか、私が好きな気持ちに気付いているのか、はたまた高見沢さんから聞いたのかは分からない。ただ、誰かに聞かれては困るので、吉沢さんは気を利かせてくれた。
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