本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
「支配人はどれがいいですか?」と聞くとコレと指を指されて一粒取るように言われたので従い、チョコレートを渡そうとすると…指から直接食べて、わざとなのか偶然なのか、私の指に舌先が触れた。

「何だ?お前も食べさせて欲しいのか?物欲しそうな顔して…。ほら、口開けな?」

支配人がチョコレートを一粒選び、私の口元へと運ぶ。

ゆっくりと口を開くと、口の中にチョコレートが押し込まれた。

もぐもぐと頬張ると口の中にチョコレートとオレンジの絶妙なバランスの味わいが広がる。

チョコレートを味わいながら考える。支配人が食べさせてくれた時、私の舌先は指になんて触れなかった。

わざと、だったんだ。

「PCの画面を見ろ」

支配人がマウスをカチカチとダブルクリックし、本店ホームページの客室紹介でロイヤルスイートルームのページを出す。

椅子の背もたれから覆いかぶさるように私を包み込み、私の頭上の横に支配人の顔があり、かなりの急接近の姿勢にトクン…トクン…と胸が高鳴る。

「バトラーって知ってるか?」

「いいえ…」

「日本では馴染みが薄いが、海外では当たり前のようにあるサービスだ。バトラーとは簡単に言うと…執事だな」

「へぇー…初めて知りました」

支配人に詳しい話を聞くと本当に専属の執事のようなもので、お客様のご要望にお答えしてルームサービスを用意したり、ランドリーに洗濯物を運んだり、要件を言い渡されれば外出する事もある、そんな仕事内容。
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