仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~


◇◇◇◇◇

今日は早出のシフトのため、支度を終えて隼と一緒に部屋を出る。


「コンシェルジュに顔見せをしておこう」


記入した申請書は昨夜のうちに隼が提出していたが、紹介もしておいた方がいいだろうと言う。

隼の婚約者としてはじめてほかの人間に会うため、突然緊張を強いられる。婚約者のふりをするのは、なによりも彼らへの対外的な理由が一番。もっとも演技を要する人たちだ。

エレベーターを降りて右手に折れ、コンシェルジュのカウンターを目指す。大理石のフロアにふたり分の足音が響いた。吹き抜けのロビーには太い柱が何本か立ち、まるで神殿のよう。


「おはようございます」


声をかける隼の三歩ほどうしろで優莉が待機していると、四十代前半の女性が「霧生様、おはようございます」と上品に頭を下げた。


「昨夜、同居人の申請書を提出させていただいたのですが」
「はい、承っております」

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