仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~

隼は優莉に希望を聞きもせずに注文して、胸ポケットから財布を取り出した。
自分の分は支払おうかとも思ったが、ここは隼に甘えるのが筋だろうと、おとなしくうしろに控えて待つ。


「お待たせいたしました!」


キャップをかぶった男性スタッフから包みを受け取った隼が、そのうちのひとつを優莉に手渡した。


「ほら、できたぞ」
「ありがとうございます」


〝黒子〟の宇賀の分もきちんと用意されているのに驚く。さすがにモテる男は気遣いが違う。離れた場所に立つ宇賀を手招きで呼び寄せて渡すと、彼は「えっ、いいんですか?」とびっくりしていた。

石畳に配置された木製のベンチに並んで腰を下ろす。海の近くのためか風が少し強いのが難点だ。もう少し暖かくなれば気持ちよく過ごせるだろう。

隼は早速包みを開けて豪快にかぶりついた。フォークとナイフで優雅に食べるのとは違うのに、なぜか妙に絵になる。イケメンとはなにをしても様になるものらしい。

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