仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「食べないのか?」
つい見入っていると、隼が横目でチラッと見た。
「いえっ、いただきます」
ごそごそと音を立てながら開けると、いい匂いが鼻をかすめる。目玉焼きにベーコン、グリルチキンにトマト、たっぷり挟まれた具材は見た目も美しい。
大口を開けようとしてカメラの存在を思い出し、急いで口を小さくすぼめた。
「――んん! おいひい!」
行儀が悪いと思いつつ、口に含んだままつい叫ぶ。目まで真ん丸に見開いた。
シャッター音が風に紛れて聞こえたためハッとしたが、今さら口を押えても手遅れだ。
「だろう?」
まるで自分の手柄のよう。隼はニッと唇の端を上げた。
「はい! 薄めのトーストの香ばしさ!」
「チェダーチーズがコクを出してるだろう」
「あぁ、チェダーチーズだったんですか。いいアクセントになってますね」