仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~


いきなり宇賀に話しかけられ驚く。ずっと遠くに離れていたから声をかけられるとは思いもしなかったのだ。

ナンパのおかげで渡せずにあったお茶を優莉が差し出すと、宇賀は「え? いいんですか?」とうれしそうに受け取った。


「社長の分はどうしますか? 私が持っていて大丈夫ですか?」
「そうだな。後でもらうよ」


一度取り出したお茶を再びバッグに戻す。ほどなくして順番が回ってきて、シロイルカの前にふたり並んで立たされた。
優莉たちの後に並んでいた人たちの視線を浴び、なんとも居心地が悪い。不釣り合いなイケメンのそばに立つから余計だ。


「もう少しくっついてください」
「もっとにこやかに」


宇賀から難しい指示が飛ぶごとに優莉の顔が赤くなっていく。


「社長、もっと花崎さんを抱き寄せて」


なんて無茶苦茶な!と思ったそばから肩を引き寄せられ、左半身が隼にぴったりとくっついた。

わわ……! なにしてるの!

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