強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
 
ちょっと考えればわかりそうなものを、父はすっかり信用してしまったみたいだ。

今さら『冗談でした!』と言える雰囲気でもないし、言ったら言ったでそら見たことかと見合い相手との縁談が進んでいってしまうだろう。

だからと言って今すぐ代わりの男性を探すことも不可能だし、このままじゃどうにもならない八方塞がりだ。

「今日の芳奈ちゃんは、お疲れのようだから。はい、これ」
 
まだ頭が上げられない私の目の前に恒さんが出してくれたのは、赤い色が魅力的なカンパリソーダ。カンパリは疲れたときに体に効くリキュールだと、前に恒さんから聞いたことがある。

カンパリ自体は苦味のあるリキュールだけど、ソーダで割ってロングカクテルにすると苦味も薄まり飲みやすくなるそうだ。
 
今日はトコトン飲んでやる!
 
カンパリソーダをイッキ飲みすると、グラスをテーブルに置いた。

普段は、こんな飲み方はしない。落ち着いた暖かい雰囲気のカウンターで、恒さんとの会話を楽しむ──それを楽しみにここへ来ているというのに、飲まなきゃやってられない。


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