強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
「何? そんな物欲しそうな顔して、また天袮の前でキスしてほしいのか?」
 
見当違いの答えが戻ってきて、これはダメだと肩を落とす。私の思いが全く届いていないみたいだ。

「キスなんてしてほしくないですし、物欲しそうな顔もしてません」
 
何よ、物欲しそうな顔って。物欲しそうな顔をするのなら、それは私が八雲さんのことを好きになってからで……。
 
なんて、そんな日は永遠に来ないと思うけれど。
 
何気なく目線を上げると、大きな時計が目に入る。時刻はとうに二十一時を回っていて、慌てて立ち上がった。

「八雲さんも天袮さんも、お腹空いてませんか? 先に夕飯にしましょう」
 
パタパタとスリッパを鳴らし、キッチンへと駆け込む。

「すぐに用意できますから、ふたりとも手を洗ってきてくださいね」

ふたりが洗面所に行くのを確認すると、ハッシュドビーフと野菜スープに火を入れ、サラダに海老のマリネを盛りはじめた。




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