強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~


な、なに今の──。

今まで一度も感じたことのない、今のこの感情を測りかねて首をかしげる。

だって、どう見てもおかしいでしょ。八雲さん相手、しかも頭の中に浮かんだ彼の顔にキュンなんて……。

うん、やっぱり、どうかしている。今のはきっと私の勘違い、だから今すぐ忘れる。

自分で自分にそう言い聞かせ何もなかったんだと立ち上がり、テーブルの片付けを始めた。

「芳奈、手伝うよ」
 
一緒に食器を片付けようとした八雲さんをやんわりと制し、「大丈夫です」と食器を持ってキッチンにそそくさと避難。

だって今八雲さんに近づかれたら、またさっきの訳のわからないおかしな感情が出てきてしまいそうだから……。

八雲さんから見えないところに立ち、深呼吸をひとつ。少し落ち着きを取り戻すと、食器の片付けを続行し始めた。




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