強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
「ところで天袮さんは、何をしにここへいらしたのですか?」

「あ、そうだ。忘れるところだった」
 
天袮さんはすっくと立ち上がると、そのまま八雲さんの書斎へと駆け込む。何を忘れたのだろうとそのままドアの方を見ていたら、手に黒いバックを持った天袮さんが現れた。

「この前ここで兄貴と一緒に仕事したとき、もの凄く慌てててノートパソコン持って帰るのを忘れちゃってね。兄貴に毎日会社に持ってきてって頼んでるのに、一向に持ってきてくれなくてさ」

「そうだったんですね。天袮さん、また今度こういうことがあったら私に連絡ください」

「ホント? その言葉、本気で受け取るけど、いい?」

「はい、もちろんです。私が天袮さんに代わって、八雲さんを成敗してやります」

「それは頼もしいなぁ」
 
天袮さんが優しく微笑む。その顔が八雲さんの笑ったときの顔とリンクして、キュンと胸が高鳴った。


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