強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
そうか、確か千登世先輩と天袮さんは同い年。でもまさかふたりが繋がっていたなんて、全然知らなかった。

「そうだったんですね。千登世先輩にも迷惑をかけた上に、天袮さんにまで……すみません」
 
私のことで迷惑をかけてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。でももう本当に、何も話すことはない。できれば一日も早く八雲さんのことは忘れたい……そう思っている。

「別に迷惑掛けられたなんて思ってないから、謝る必要はないんだけどね。だって僕は、君を迎えにここへ来たんだから。あ、勘違いしないでね。八雲のためじゃない、僕自身のためにだよ」
 
八雲さんは屈託のない笑顔を見せ、私の心を弄ぶ。一瞬惑わされそうになって、でもすぐに我に返り天袮さんから距離を取る。天袮さんが、怪訝そうに眉をひそめた。

「ところで芳奈ちゃん、八雲のことはどうするの? もう好きじゃない?」

「そ、それはっ……」
 
その続きは、なんて言うつもり? 『まだ好きです』なんて言ったって、もうどうにもならないのに。


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