強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
「はい、わかります。迷惑をかけて、本当にすみませんでした」

「謝るなら、僕にじゃなくて八雲にでしょ。ホントふたりって世話が焼けるよね。何歳なの? 子ども? そろそろお守りから開放されたいよ」
 
大きくため息をつくと、天袮さんは軽く手を振りながら帰ってしまった。

「天袮さん、大丈夫でしょうか?」

「何が?」

「何がって……。よくわかりませんけど」

「天袮が心配か?」
 
普段より少し低い声が頭上から聞こえ、声がする方を見上げる。天袮さんが歩いていった方を真っ直ぐ見つめる横顔は少し切なげで。その表情が何を意味するのか、私にはまだ確信が持てなかった。

「その聞き方、意地悪です」
 
くるっと方向転換すると、公園に向かって歩き出す。

「どこへ行くんだ?」

「公園へ散歩に行く途中だったんです。それに、私がどこに行こうと八雲さんには関係ありません」
 
さっき天袮さんに逃げるなと言われたばかりなのに、ふたりっきりになるとどうしていいのかわからなくなる。


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