強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
悪い癖……。確かにそうかもしれないけれど。本当の恋人同士じゃないんだから、期待しないに越したことはない。悪い方に考えるのは、自然の摂理と言うもの。 
 
でも今なら、思っていたことを聞いてもいい? 息を少し吐いて、緊張している身体を和ませた。

「八雲さん、昨日の夜こと……面白いって。その言葉を聞いて、ちょっとショックで……」
 
そう言いながら、上目遣いで顔の表情を窺う。

これだから処女は面倒くさい──なんて思われているんじゃないかと、心配でたまらない。でも八雲さんは顔色ひとつ変えず、私のことを優しい目で見つめている。

「ねえ芳奈。恋ってさ、楽しんでするものだと俺は思ってる。しんどい恋は長続きしないからな。そういう意味で、芳奈と過ごす時間は面白いって言ったんだけど。どうやら違う意味で取られてたみたいだな」

「はぁ……」
 
八雲さんの言ってることが、わかったような、わからないような。結局それって、どういうこと? 私は遊ばれてなかった……っていうことで合ってる?


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