強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
ガハハと笑う父を見て、情けなくなってきた。仕事を辞めたいなんて、一度だって言ったことがないのに……。
私がどんな思いで、今の仕事に就いたと思っているのだろうか。
「お見合いは……しない」
怒りが頂点に達し、その思いが私の口を勝手に動かす。
「芳奈?」
父の顔から笑みが消えた。でもここで怯むわけにはいかない。
「結婚したいと思ってる人がいます」
「なんだと。もういっぺん言ってみろ」
そういう声に怒りが混じり、恐怖から身体がすくむ。怒ったときの父は、地獄の閻魔大王のようだ。緊張から唇が震える。
「す、好きな人がいるって言ってるの! だからお父さんが何人お見合い相手を連れてきたとしても、私は誰とも結婚しない!」
なんとか思っていることを全部ぶちまけると、心の中がスッと軽くなる。嘘をついたことへの罪悪感は多少残るけれど、こうでも言わなきゃお見合いだけじゃなく結婚まで決まってしまう。それだけは、絶対に阻止しなきゃいけない。