強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
これでどうだ!と言わんばかりに、父を見据えた。
「相手はどこの誰だ? 会社の奴なのか? なあ、どうなんだ!」
「え? あ、うーん。まあ、そんなところ」
畳み掛けるように聞かれて、嘘をついている私は答えがしどろもどろになってしまう。
「そいつはルナ・カルドのご子息より、いい男なのか?」
「も、もちろんよ。私が選んだ人なのよ、ルナ・カルドの息子なんか足元にも及ばないわ!」
売り言葉に買い言葉、負けず嫌いの性格も影響して大きなことを言ってしまう。ルナ・カルドの社長の息子に会ったことがないから、相手がどんな人なのか全くわからないけれど、大袈裟くらいに言っておかないと父のことは誤魔化せない。
さあ、どう出る?
父の反応を待っていると、ソファに座っていた父がおもむろに立ち上がった。何ごとだと、身構える。
「ルナ・カルドのご子息は専務……その男の、足元にも及ばないということなんだな?」
「そ、そうだけど」
上手く誤魔化せたのだろうか。父の表情が、少し緩んだような気がする。