強引な副社長の婚前指南~偽りの極甘同居が始まります~
もちろん今でも勝手なことは言うし、小馬鹿にする態度には頭にくることもあるけれど。
 

そんなことを全部ひっくるめても、こうやって私に付き合ってくれる八雲さんはやっぱり優しいんだと思う。

「副社長の八雲さんなら土日だって忙しいと思うのに、私なんかに付き合ってくれるし。明日のためになんとかしようとしてくれる八雲さんは、とても頼りになる存在です。そこまでしてくれる八雲さんですよ、優しいに決まってるじゃないですか」

「芳奈、おまえ……」
 
なんだろう。本当の気持ちを言ったまで。それ以外になにもないというのに、八雲さんの顔が赤いような……。

「なんですか?」

顔を見られたくないのか、八雲さんは片手で覆い隠し私から目線をそらした。少しそばに寄って顔を覗き込もうとしたら、反対の手で払われる。

「芳奈それ、わかってやってる……わけないよな。無自覚とか、マジで勘弁してほしいわ」

「無自覚って誰がですか? 八雲さん、言ってることが全くわからないんですけど」

「わかった。芳奈の気持ちはわかったから、ちょ、ちょっと離れろ」


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