偽りのキス
清田くんと一緒に帰った
お揃いのマフラーで
「昨日、ありがとう…」
「うん、こちらこそ
乙ちゃんといれて、楽しかったよ」
「清田くん…あのね…
やっぱり、マフラーもらえない…」
「やっぱり?
そっか…残念…
…
オレだったら
乙ちゃん、幸せにできると思ったのにな…
蒼汰のこと、諦めさせる自信あったのにな…」
「…知ってるの?
私が蒼汰好きなこと」
「見てたらわかるよ
でも、アイツ好きな人いるでしょ」
「うん…」
「それでも蒼汰のこと好きでいる乙ちゃんが
見てられなかった…
…
蒼汰諦めたら、いつでも待ってる、オレ
…まぁ、ないか…
…
じゃあ、それ、蒼汰にやって
アイツのマフラー、教室に捨ててあったから
明日してないと思う
…
クソー、蒼汰に負けるとは…」
清田くんはそう言って笑った