偽りのキス

乙は綾ちゃんが一緒にいるのに気付いて
目をそらした



「どっか行くの?」

乙に聞いた


乙はかわいいワンピースを着てた



「うん…
待ち合わせ」




「そっか…気をつけてね…」


乙が誰に会うか
なんとなく想像できた




「蒼ちゃん、先、行ってるね」

綾ちゃんに言われた



「あー、うん、オレも行く…

乙、寒そう…
寒くない?」



「うん、外に出たら思ったより寒かった」



オレは乙に自分がしてたマフラーを掛けた



「ありがとう…」


笑った乙がかわいかった




乙は綾ちゃんのことは聞かなかった




「じゃあ…」


オレは乙に手を振って改札を抜けた





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